厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策政策研究事業)

エイズ予防指針に基づく 対策評価 推進のための研究 HIV Prevention Policy Research

ケアカスケードの推定と対策評価に関する疫学研究

京都大学大学院医学研究科社会健康医学系

西浦 博

研究目的

「ケアカスケードの推定と対策評価に関する疫学研究(西浦 博)」では、わが国でのいわゆる95-95-95やthree zeroに資するHIV感染症の診断割合や未診断者数、およびその異質性の定量化を行い、また、実効再生産数や施策評価のための基盤的データを提供する。

期待される効果

診断状況を通じた流行制御状況の捕捉による国連エイズ合同計画のTest and treat戦略に関して日本の状況把握の上で鍵となる情報が得られ、エイズ対策推進のための科学的根拠の提供。また、診断が遅延した感染者の特性に関する疫学的特徴の捕捉。

研究計画・方法

令和6年度は原著論文の出版を通じてHIV診断者割合の推定値の提供を図る。地域別および年齢群別の推定に取り組む。加えて、診断時の感染後経過時刻の分布に関する研究基盤を構築し、診断が遅延した者の数や割合を把握できるようにする。令和7~8年度に、地域別の推定と出生年別(年齢群別)の推定を引き続き実施することで、わが国における診断傾向の問題点を把握するとともに、流行対策の評価基盤構築のための実効再生産数の推定などに役立てる。診断が遅れた者に関してはその年齢や地域の特徴などを把握し、診断の遅れの状況をモニタリングできるよう疫学的分析を充実させる。