エイズ予防指針とは
エイズ予防指針という名称ではあるが、予防のみに限らず、流行状況の把握、予防啓発・教育、検査、医療機関での対応、研究、国際的な連携、社会における人権、モニタリングなど幅広く日本の今後数年間のHIV施策の方針を示す法令である。
HIV感染症に対する国の対応としては1989年2月に施行された「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(エイズ予防法)」は、HIV陽性者から他の人への感染を防ぐことに主眼を置いたために医師からの届け出義務が場合によっては氏名も含むなど、プライバシーの侵害のために検査や受診を遠ざけ逆効果であった。1994年に横浜で開催された国際エイズ会議、1997年の薬害エイズ裁判の和解を経て、HIV陽性者を排除の対象としてではなく人権に配慮するべき存在とした「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が1998年10月に成立した。その後、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(以下エイズ予防指針)は、日本のHIV施策の方向を決めるものとして、約5年間に一度改正されている。直近の改正は平成30(2018) 年であり、新予防指針が近々発表される見込みである。